
化粧箱を開けると中は黒地に金文字の中箱。

箱を開けると本体が現れます。

中身はこんな感じ。正規品なので簡単な日本語の説明書と保証書が入っています。USBケーブルは充電用のほかPCと接続して音楽を再生するためのものも付属します。他にはドライバ用のCDに変換プラグ、ゴム足とバンドといった具合です。

さて、それではXD-05を見ていきたいと思います。一番上とこの画像を見てもらうとわかるように本体表面の印字は表と裏では方向が逆になっています。接続するDAPによりどちら向きでもいいようにとの配慮のようです。

上部の操作面です。右から電源とボリュームを兼ねたスイッチ、ゲイン切替、ベース、入力切替、ヘッドホン端子という並びです。そしてディスプレイは有機ELです。

下面は入力端子が並びます。右からデジタル(光、同軸兼用)、USB(充電用)、USB(デジタルオーディオ)、アナログライン入力となっています。

ここで目を引くのはデジタルオーディオ用のUSBです。珍しいことにこの端子はタイプAのオスなのです。大抵この手の製品ではマイクロUSBのメスが多いと思うのですが、XD-05の場合一応マイクロUSB端子はあるもののそれは充電用です。再生用はタイプAでしかもメスではなくオスという仕様。
なぜなのか?
それはiPodやiPhoneそしてAndroid端末やWALKMANとOTGケーブルで接続することを前提としているからです。

こんな風になるわけですね。おじさんの持っているWALKMANは古いやつなのででデジタル出力はできませんが、今のやつはWALKMAN端子からデジタルで出力ができるので、専用ケーブルを使えばデジタル接続ができます。Apple製品はLightningコネクタからカメラアダプタを使って接続できます。
しかし、実際の使用を考えた場合、正直上のような接続形態は端子部が壊れそうで不安です。あくまでも携帯して使うわけですから、安全性を考慮した場合やはり3.5ミリのプラグを使いたいところです。
そこでおじさんが選んだDAPが

Fiio X3 2ndです。これまた中国メーカーということで恐縮なんですが、これはおじさんの目的に合ったDAPがこれしかなかったという事情のためです。当初は新型のWALKMANを考えていたのですが上記の理由で接続方法に不安があったのと、安くて同軸デジタル出力ができるDAPがこれしかなかったのです。
しかしこのX3、購入後にわかったのですがデジタル出力がとんでもない変態仕様で、XD-05とデジタル接続するのに大変な思いをしました。ま、その辺のいきさつは後編に譲りますが、とにかく両者を同軸デジタルで接続します。

するとこんな風になるわけです。

う~ん、もう携帯っていう大きさじゃないわな・・・(゚_゚i)タラー・・・

厚みもこんなだし・・・・・
音質レビュー前置きが長くなってしまいましたが、ここから肝心の音質をレビューしたいと思います。組み合わせるイヤホンはオーテクのATH -IM03で、ソースはCDからリッピングしたWAVです。なお、音の感じ方は人それぞれなのであくまでも参考程度としてください。
まず一聴して感じるのはそのクリヤーさです。X3のラインアウトとも聴き比べてみましたが、もう全くの別物です。巷ではX3のラインアウトの品質が高いと評判ですが、XD-05のDACを通した音に比べたらレンジが狭く力強さに欠けています。
XD-05の音は解像度が高く細かな音までよく聞こえます。単に解像度だけでいうと今使っているifI nano iDSDのほうが僅かに上なのですが、XD-05は高い解像度を維持したまま全体を一つにまとめ、それを音でなく音楽として再生します。ともするとifI nano iDSDはその高い解像度故、音の集合体を聴いてるような感じになるときがありますが、XD-05では単なる音ではなく音楽を奏でてくれるのです。
高音の質
とても伸びやかで女性ボーカルが気持ちいいです。初期にはソースによってさ行が刺さることもありましたが、エージングが進むにつれそういった症状が取れ少しまろやかになってきました。それでもまだきつく感じる時があるので今後のエージングでどう変わるかです。
中音の質
もう素晴らしいの一言です。ボーカルに艶があり微妙なニアンスまで伝わってきます。息遣いや感情までリアルの感じるられ思わず聴き入ってしまいます。おじさんは音楽を聴いていて一番気になるのが人の声なので、ここが如何に心地よく聞こえるかが重要な要素です。XD-05はおじさんの要求に十分応えてくれます。
低音の質
適度に引き締まり力強さがあります。他のアンプでは低音を強調するあまりぼわついて締まりのないものになってるものもありますが、XD-05では無理に強調することもなく自然で気持ちのいい低音を聴かせてくれます。特に目を引くのは立ち上がりの早さです。ドラムなどの音は実に歯切れがよく出だしがスパッと気持ちよく鳴ります。これまでおじさんが使ってきたWALKMANS766ではこの辺がまるっきり駄目で、濁って歯切れの悪い音しかしません。それだけを聴いていればそういうもんだと思ってしまいますが、一度XD-05の音を聴いたらそのあまりの違いに愕然とするのではないでしょうか。
悪いところ
やはりなんといってもその大きさと重量です。携帯して使うにはウエストバッグなどがないと無理です。間違ってもポケットになどは入りません。音質と引き換えにこの大きさを許容できる人は限られるのではないでしょうか。
そしてもう一つは作りの悪さです。ここはやはり中国製ということで品質管理面で日本メーカーとの違いが出ているようです。おじさんの個体ではGAIN切替のスイッチが表示とずれています。

上の画像ではGAINのレバーを中間にしているのですが、表示とずれているのがわかると思います。これはパネルと中の基盤とが合ってないためと思われます。些細なことではありますが、日本製ではあまり見ないことです。
さらに各プラグの穴が緩めで、気づくと抜けかかっていることがあります。X3などはしっかりしているので中国メーカーだからというわけではないのでしょうが、こういう部分に詰めの甘さが目立ってしまいます。
またボリュームのトルクが軽いためウエストバッグに入れて使っていると、ちょっとしたことで回ってしまい突然爆音という事故になってしまうことがあります。ポータブルアンプなのですからこういったところはしっかりとしてほしいものです。
総評
音の傾向としては色付けが少なくソースに忠実で、そのソースが持っている情報を余すことなく全て再生するといった印象です。故に録音の悪いソースなどは明らかにそれを露呈させます。MP3の圧縮音源などはいかにも圧縮だなとわかる音がします。むしろ圧縮音源に関してはX3単独で聴いたほうがいいくらいです。X3はカットされた音域を補正してくるのでXD-05を通して聴くよりずっと良好です。
とりわけ印象的なのはクリヤーで音の輪郭がはっきりしているところです。個々の楽器の音が混濁せず明瞭で、その分解能の高さが目を引きます。それでいて個々の音がしっかりと調和しており、ひとつの楽曲としてバランスよくまとまっています。
今回改めて古い(80年代)CDの音源を聴いてみたのですが、非常に興味深いことがありました。これまで古いCDは音が悪いという印象を抱いていたのですが、どうやらその考えを改めなければならないようです。
これまでは主にWALKMAN S766で聞いていたわけですが、古いCD音源はレンジが狭くぼやけた音しかしませんでした。それがXD-05を通すことでまったく違う音になったのです。情報量が一気に増え音に力強さが加わりました。膜が1枚も2枚も剝がれたように見通しがよくなり、音域全体が伸びやかに広がったのです。正直同じ音源とは思えない変わりようで、まるでリマスタリングでもしたような印象です。元々ここまでのテンシャルがありながら再生環境のせいで引き出せていなかったのですから、随分と誤った認識をしていたことになります。
とはいえ本当にリマスタリングした音源と比べたらそこまでいいわけではないです。最近古いCDをリマスタリングしてリリースするのが増えてきましたが、それらと比較するとやはり見劣りはします。ま、これは音源自体の問題なのでしょうがないですが。
上を見れば更なる高音質のものはいくらでもありますが、3万円以下でここまでの音を出せるアンプとなるとそう多くはないと思います。再生フォーマットも幅広くこの先ハイレゾで困ることもないと思います。
内蔵のバッテリーはいずれ劣化し充電できなくなります。それを考えると高価なポタアンを買うのも考え物だとおじさんは思います。このくらいの価格帯が数年おきの買い替えを考えた場合ベストな気がします。
XD-05は完璧というわけではありませんが価格以上の価値は十分あります。3万円前後の激戦区の中にあって十分魅力的な商品であることは間違いありません。
次回後編は、X3との同軸デジタル接続での奮闘を報告したいと思います。
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