さてこれから講座を進めていくわけですが、その前に今回は予習をやっておきたいと思います。というのもこの都路行灯、登場から十数年を経ているのですが、いまだに仕様変更を続けているという特異な製品だからなのです。そして今回も更なる仕様変更を施すことになっています。然るに何故にそれほど仕様変更を繰り返すのか、いったいどこを変えてるのか、エフはアホなのか、と気になるそこのところを説明していきたいと思います。

まずはこの画像、これは初期の都路行灯です。基本的な形状は今も変わりませんが、組子を取り囲む部材の使いかたが現状との相違点です。

矢印で示した2箇所は材料の向きが縦と横という具合に違ってます。Aを付けた後にBを付けているわけです。
さてそこで、
この以前のやりかたにはちょっとした問題があります。なにが問題化というと、過度に乾燥した所に置かれるとAが収縮してBとの境目に段差が出来てしまうのです。

図に表すとこんな感じです。
木が収縮することを木やせというのですが、この現象はAにだけ現われてBには現われません。どんだけへそ曲がりな木やせなんでしょうね、一緒に痩せてくれれば丸く収まるというのに。
まあ、木やせ自体の現象は、木地の中に僅かに残っている水分が蒸発し乾燥して体積が小さくなるためなのですが、何故それほどに乾燥するのかといえば、一つは先にも書いた通り周りの空気が過度に乾燥してる場合が上げられます。これは百貨店などで販売する時、空調が効きすぎていて店内が乾燥しているときなどのがそうです。特に冬場は暖房と相まって乾燥マックスなわけです。
これとは真逆ともいえる弊社工場の環境下では、保管している製品でこういった現象が出るのは稀です。上を見上げると屋根の隙間から青い空が見えるという恵まれた環境にあって冬場でも暖房で乾燥するということがないからです。スゴ~イ、別の意味で・・・
そしてもう一つは光源です。40ワット電球からの放熱が乾燥を促進させていると考えられます。本来この大きさからは25ワット位が適当かと思われるのですが、組子の面積が小いさく外に出る光量が少ないため暗く感じてしまいます。そのため40ワットを使用しているのですが、この熱が少々悪さをしているようにに思われます。
そこで、
この悩める現象に対処するべく今日まであれやこれやと無い知恵を絞ってきたわけです。
そして、ここに来てようやく最終仕様になろうかという段階になりました。(って、遅すぎだけど)
それがこれです!ドド~ン

従来あったBがありません。
木やせ事態はどうやっても防ぐことは出来ないので、それならばと考えかたを変えました。これならたとえ木やせしてもBが無いので段差は出来ません。

しかもまるで1枚の板をくりぬて組子をはめ込んだかのような木目の一体感。
仕様変更といっても、これはむしろ進化とさえいえるのではないでしょうか
あああああああ!!!
というわけで今回はここまで。次回からいよいよ本題に入ります。
次回へつづく。
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